学校歯科健診で要観察歯(CO)と診断された歯牙です。良く見ると左下の奥歯の間の色が少し変わっている事がわかります。このように僅かな変化も見落とさないためには健診現場にも適切な照明環境がが必要となります。私の開業している地区では行政の協力を得て歯科医院と同様の照明(無影灯)を用意していただきました。この照明のおかげで健診レベルも格段に上がったと自負しています。
ワールドカップの初戦、日本がオーストラリアに残り時間僅か10分から3点を取られ逆転負けした翌日、知り合いの衛生士さんが「左の奥歯が痛くて歯をかみ合わす事が出来ない」と来院されました。口腔内を拝見すると虫歯などはなく肉眼所見では特に問題はないようでしたが(図1、2)、触診から左下の第2大臼歯がわずかに動揺し、咬合痛をみとめました。何か原因として思い当たる事はないか確認したところ、「昨夜の応援で歯を食いしばり、また逆転負けで悔しさのあまり良く眠れなかった」とのお話でした。レントゲン撮影を行ったところ図3、4に示すような状態でした。肉眼では確認出来なかった左下第2大臼歯の遠心に大きな骨欠損を確認する事が出来ました。
咬合性外傷と食片圧入を疑い、咬合状態を確認し噛み合わせの調整から始める事にしましたが、あらためてレントゲン診査の重要性を再確認しました。歯科医院では主に歯牙や歯槽骨といった歯と歯周組織の病変を対象に治療を行います。これらの変化にはレントゲン診査による診断が必要不可欠となります。
しかし、重要な情報を得るためとはいえレントゲン撮影による被爆の影響を心配される方もいらっしゃると思います。我々人間は日常生活においても地球から自然放射線被曝として約2.4mSv/年 被爆しています。歯科でのレントゲン撮影での被爆量は、その数百分の一ですから自然被爆よりきわめて小さいものと言えるでしょう。
したがって、歯科でのレントゲン撮影による被爆の影響は非常に少ないものとして考えられますが、当院では防護エプロンを着用し放射線防護のうえ撮影を行い被爆量の軽減に心がけています。

図1
お口の状況
多少の歯列不正をみとめますが、清掃状態もよく特に問題もないように見えます。

図2
痛みの原因と思われた左下第二大臼歯の内側に様子 歯と歯の間に僅かなプラーク(歯垢)があり、歯肉に発赤、腫脹がみとめられますがこれだけで原因を特定する事は難しい。

図3
パノラマレントゲン写真
全体の様子を診査するために撮影します。

図4
デンタルレントゲン写真
部分的な歯牙や骨の状態を診査するために撮影します。奥から2本目の歯に肉眼では確認出来ない骨の吸収像がみとめられます。